湿潤療法(うるおい療法)に関するセミナー

Seminar on Moist Cure


 10月17日(土)18:15より、第5回湿潤療法(うるおい療法)に関するセミナーをつるまいプラザ(名古屋市)で開催致しました。
 当日は、時折激しい雨が降る悪天候でしたが、医師、看護師、コメディカルなどの医療関係者・介護関係者を中心に、150名弱のご参加いただきました。本セミナーを盛会のうちに終了することが出来ましたこと、主催者として、厚くお礼申し上げます。
 今回は、座長として有田共立病院の武内謙輔先生をお招きし、セミナーとして3つの講演を行いました。
 まず、セミナー1では、きよすクリニックの伊藤喜亮先生に「内科医でもできる!湿潤療法のポイント」という演題でご講演いただきました。ご講演では、創の状態による被覆材の使分けなど、特に褥瘡、熱傷、伝染性膿痂疹を中心に湿潤療法を実践する上でのポイントを具体的に分かり易く解説いただきました。褥瘡ポケットに短冊状に切断した穴空きフィルムをドレーンとして用いる方法など、裏技もいくつかご紹介いただくなど大変参考になりました。驚くべきことは、内科系のクリニックでありながら熱傷治療を50症例/年、伝染性膿痂疹の治療を150症例/年を治療されているとのことであり、今後、新に湿潤治療を取組まれる方々にとっても勇気が得られる素晴らしいご講演でした。
 セミナー2では、介護医療保険施設はっ田の大西山大先生に、「創傷治癒に対するプラスモイストの有効性および、ポビドンヨード消毒の有害性と水道水洗浄の有効性 〜創傷モデルを用いた実験的研究〜」という演題でご講演いただきました。創面の洗浄効果を確認することを目的とし、ラットU度熱傷モデルを用いた動物実験において、10%ポピドンヨードで創面洗浄を行なうと創傷治癒遅延が発生し、一方、生理食塩水洗浄と水道水洗浄を比較すると、水道水洗浄の方が明白に創閉鎖までの日数か短くなるという驚愕の実験結果をご紹介いただきました。水道水で創面を洗浄することで表皮形成が抑制されることなく、また、生理食塩水よりも表皮形成が促進されるという目から鱗が落ちる実験結果に会場中で驚きの声が上がりました。日常的に入手し易い水道水による洗浄が創傷治癒に有効である旨を示した素晴らしい動物実験報告であり、日々の創傷治療に即適用できる大変有意義で参考になるご講演でした。
 最後に、セミナー3として石岡第一病院の夏井睦先生に、「新しい創傷治療」という演題で、ご講演いただきました。今回も、60分と通常セミナーとは短い時間でのご講演となりましたが、湿潤療法の基礎から、実際の治療、創感染の考え方まで、詳しく解説していただきました。驚くべき症例の数々と解り易い比喩、そしてユーモア溢れる熱弁に、ご参加戴きました皆様も時間の経つのを忘れて聞き入っておられたと拝察致しましたが、会場時間の関係で今回結果的に講演後の質疑・応答以降のプログラムに十分時間が取れなくなってしまったことを、主催者としてお詫び申し上げます。
 貴重なご講演をいただいた伊藤喜亮先生、大西山大先生、夏井睦先生、座長の武内謙輔先生、ならびに、ご参加いただきました皆様に心よりお礼申し上げます。

   SOMC事務局

第5回セミナー【名古屋】 開催報告       


 
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